離婚時の財産分与割合は?子どもがいる場合のポイントも解説!
離婚は人生における大きな転換期であり、多くの不安や疑問を伴います。
特に、財産分与については、複雑な法律や手続きに戸惑う方も少なくないでしょう。
この度の離婚を機に、これからの人生をどのように歩んでいくのか、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、離婚時の財産分与割合について、基本的な原則から具体的なケース、そして専門家への相談の必要性まで、分かりやすく解説します。
特に、お子様がいる場合のポイントにも触れ、少しでも皆様の不安を解消できるよう努めてまいります。
財産分与割合の基本原則と例外
原則としての二分の一分与
離婚時の財産分与は、原則として夫婦で築いた財産の二分の一ずつを分けることが基本です。
これは、民法768条3項に基づき、家庭裁判所が「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める」という規定に基づいています。
この原則は、「2分の1ルール」と呼ばれ、裁判実務でも広く適用されています。
例えば、1,000万円の預貯金がある場合、原則として500万円ずつが分与されることになります。
この原則が適用される根拠は、夫婦が協力して生活を営み、財産を築き上げたという点にあります。
一方が専業主婦・主夫であったとしても、家事や育児という貢献があったと認められるため、原則として平等に分割されます。
共働き夫婦の場合も、収入の差に関わらず、それぞれの貢献度を考慮した上で、原則として2分の1の割合で分与されるのが一般的です。
しかし、例外的にこの割合が変更されるケースもあります。
例外ケース・高収入の場合の割合調整
夫婦の一方が、特別な資格や能力によって高収入を得ており、その収入が財産形成に大きく貢献している場合、2分の1ルールからの例外が認められる可能性があります。
例えば、医師や弁護士、経営者など、高い専門性や能力を必要とする職業に就いている場合などが該当します。
この場合、高収入を得ている方の貢献度が高かったと判断され、分与割合が変更されることがあります。
しかし、職業だけで割合が決定するわけではなく、具体的な収入額、財産の形成過程、他方の家事・育児への貢献度など、様々な事情が総合的に考慮されます。
裁判例では、高収入の夫の貢献度を6割、妻の貢献度を4割とする判断が下されたケースもあります。
例外ケース・専業主婦・主夫の場合の考慮事項
専業主婦・主夫の場合、原則として2分の1の分与が認められます。
家事や育児は、金銭的ではないものの、重要な貢献であると認識されているためです。
しかし、高収入の配偶者との離婚においては、専業主婦・主夫側の貢献度が相対的に低く評価される可能性も否定できません。
特に、高額な財産の大部分が、高収入の配偶者の収入によって形成されている場合、専業主婦・主夫側の分与割合が減額される可能性があります。
ただし、生活費の負担や子どもの養育状況など、個々の事情を総合的に考慮して判断されるため、必ずしも割合が減額されるとは限りません。
慰謝料との関係性と算定方法
財産分与と慰謝料は、性質が異なるものの、離婚時に同時に請求されることが一般的です。
慰謝料は、離婚原因を作った側が、相手方に支払う精神的損害賠償です。
不貞行為やDV、モラハラなどが離婚原因となる場合に請求されます。
財産分与は、夫婦が協力して築いた財産の清算です。
慰謝料と財産分与は、それぞれ独立して算定されますが、実際には、財産分与の対象となる財産から慰謝料を支払うケースが多く見られます。
慰謝料の金額は、離婚原因の程度、婚姻期間の長さ、経済状況などによって異なります。
子どもがいる場合の財産分与割合と留意点
子ども名義の預貯金・学資保険の扱い
お子様名義の預貯金や学資保険は、その資金の出所が夫婦の共有財産である場合、財産分与の対象となる可能性が高いです。
しかし、お子様への贈与や、お子様の独立した資金として明確に区別されている場合は、分与対象外となることもあります。
具体的には、資金の出所、預金の名義、利用目的などを総合的に判断する必要があります。
学資保険の場合、解約返戻金が分与対象となるケースが多いですが、お子様の教育資金として残したい場合は、協議によって分与対象から外すことも可能です。
養育費との関係性
養育費は、離婚後、子どもを養育する親が、もう一方の親から受け取るお金です。
養育費は、子どもの生活費を賄うための費用であり、財産分与とは別個に算定されます。
養育費の金額は、子どもの年齢、生活水準、親の収入などによって決定されます。
財産分与と養育費は、それぞれ独立した制度であるため、どちらかの金額が多いからといって、もう一方の金額が減額されることはありません。
しかし、財産分与の額が少なかった場合、養育費の額を交渉する際に有利に働く可能性もあります。
児童手当・児童扶養手当の扱い
児童手当は、未就学児から中学生までの子どもがいる世帯に支給される手当です。
離婚後は、主に監護親が受け取ることになります。
児童手当は、子どもの生活を支援するための手当であり、財産分与の対象とはなりません。
一方で、児童扶養手当は、離婚などで単独で子どもを養育する親に支給される手当です。
これも財産分与とは関係なく、別途支給されます。
これらの手当は、子どもの生活を支援するための制度であり、財産分与の金額とは無関係です。
親権問題との関連性と弁護士相談の重要性
親権問題と財産分与は、密接に関連しています。
親権者となる方は、通常、子どもの養育費を請求する権利を持ちます。
また、子ども名義の預貯金や学資保険の管理権も、親権者にあることが多いです。
親権争いが激化した場合、財産分与の交渉にも影響を与える可能性があります。
これらの問題をスムーズに解決するためには、弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士は、法律知識に基づいて、適切なアドバイスやサポートを提供し、紛争解決を支援します。
まとめ
離婚時の財産分与は、複雑な法律知識と手続きを必要とするため、ご自身だけで解決しようとすると、思わぬ損失を被る可能性があります。
特に、お子様がいる場合は、親権や養育費の問題も絡んでくるため、より慎重な対応が求められます。
今回解説した内容を参考に、まずはご自身の状況を整理し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
専門家の適切なアドバイスを受けることで、より有利な条件で離婚を進めることが可能になります。
監修者情報

株式会社ハウシード
代表取締役 藪木 秀則